「周年事業で本当に共有すべきなのは、会社の歴史ではなく“歩いてきた理由”かもしれない」

デジタルで整えた周年施策が悪いわけではありません。動画も特設サイトも、会社の歩みを見せる手段としてはとても有効です。ただ、経営者の方とお話ししていると、「きれいには仕上がった。でも、現場の熱が思ったほど上がらない」という声をよく耳にします。見せることには成功しているのに、腹落ちまでは届いていない。そんな、言葉にしづらいズレが残るのです。

 

理由は案外はっきりしています。画面越しの情報は、どうしても“受け取って終わる情報”になりやすいからです。社員が本当に知りたいのは、何周年かという事実だけではありません。なぜこの会社がここまで続いたのか。どこで迷い、何を守り、何を手放してきたのか。そうした背景に触れたときに、はじめて会社の歴史は自分たちの仕事とつながり始めます。

 

そこで意味を持つのが、えとこえの紙芝居メソッドです。一枚の絵を囲みながら、創業時の手探りや転機の裏側を、自分の言葉で語っていく。少しくらい間があってもいいし、話がまっすぐ進まなくてもいい。その揺らぎがあるから、社員は“用意されたメッセージ”ではなく、“この会社が本当に歩いてきた時間”として受け取れます。周年事業は、過去を飾るためのものではなく、次の一歩を同じ方向で踏み出すためのもの。デジタル全盛期だからこそ、最後に人の記憶に残るのは、案外こういうアナログな対話なのかもしれません。